ADHDについて

ADHDの基礎知識

ADHDとは?

ADHDはAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略で、文部科学省、厚生労働省が定めた現在の日本語訳では「注意欠陥多動性障害」とされています。

不注意、衝動性、多動性の3症状を主な特徴とする生まれつきの精神疾患で、発達障害(神経発達症群:神経発達症群については「ADHDの診断について」のページのDSM‒5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)をご覧ください)の一つとされています。

詳しい原因はまだわかっていませんが、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質がスムーズに伝達されず、認知機能にかかわる前頭連合野がうまく機能しないという仮説などがあります。不適切な親のしつけや教師の指導が原因でADHDになることはありませんが、環境によってはADHDに似た症状が出たり、問題行動が悪化することはあります。

    ADHDの不注意の特徴

  • 細かいところに注意を払えなかったりケアレスミスがある
  • 人の話をしっかり聞くことが難しい
  • 整理整頓が苦手でよく物をなくす
  • すぐに気が散ってしまう
  • しなければいけないことを忘れやすい
  • 時間や物の管理ができない
  • 単調な作業を長時間できない

    ADHDの多動・衝動性の特徴

  • すわっているときに手や足を動かしたり、椅子をガタガタする
  • じっと座っていることが難しい
  • 静かに作業をすることが難しい
  • 多弁
  • 質問が途中なのに答えを言ってしまう
  • 順番を待つのが難しい
  • 考えずに行動する

などが主な特徴で、アメリカ精神医学会のDSMや世界保健機構のICDによる基準を参考に医師が診断します。

しかし、まだADHDについて知らない人も多く、「だれでも努力すればできそうなこと」ができない障害なので、「なまけている、不まじめ」などと叱責されたり、軽蔑されたりすることが多く、本人は自信や希望を失い、自暴自棄になったり、うつ傾向になったりします。

子どもにも成人にもADHDで苦しんでいる人はいます。
「見えない障害」であるために、理解者が得られないとADHDを持つ子どもや大人、そして家族は孤立してしまい、悩みを抱えて苦しむのです。
適切な薬物療法、心理療法のほか、教育的な介入によってADHDによる問題行動は軽減することが知られていますが、適切な対応がなされないケースでは深刻な二次的な問題を引き起こすことがあります。

ADHDは理解と支援で個性になる

ADHDの特徴を理解し、それによる日常生活での支障を軽減することでADHD的症状は、ひとつの個性になることがあります。
さらにADHDを単なる障害としてとらえず、才能として活用することも可能なのです。見方を変えれば、「ひとつのことに集中できない」ことは「多くのことに興味を持てる、同時にいくつもの仕事をこなせる」ということであり、衝動的とは実行力と行動力があると言えるのです。

大切なことは周囲の理解ある言葉かけによる本人の自信喪失の防止です。
支援の第一歩は思いやりのある言葉がけ、そのためにはADHDの正しい情報が不可欠です。
また、自己理解も重要でADHDの特徴を受け入れず過剰に頑張りすぎるとストレスが蓄積し、もともとある能力も発揮できなくなります。
ADHDを十分に理解し、正しく対処していくことで、人生の質(QOL)をあげていくことは可能です。

ADHDの代表的な3つのタイプについて

ADHDは、注意力・衝動性・多動性を自分でコントロールできない脳神経学的な障害と言われています。
それらの特性のうち、どれが強く出るかによって以下のようなサブタイプにわけることもできます。

  1. 不注意優勢型のADHD
  2. 不注意優勢型の場合は、忘れ物、注意散漫、うっかりミス、段取りの悪さなどが問題となります。
    これらはADHDのある子どもには特徴的なことですが、障害を理解していないと、自尊心に傷をつけるような言葉がけをしてしまいます。
    時には不注意であることが問題というより、度重なる叱責により先生との信頼関係が崩れ、あるいは自信を失い登校を渋り始めたり、無気力・投げやりになるなど、二次的な問題が深刻になります。

  3. 多動/衝動性優勢型のADHD
  4. 子どもは考えもなくよく動くものですが、「多動・衝動性」が年齢不相応で、事故やケガなどを招くレベルであるときは、専門機関に相談したほうが良いでしょう。
    多動は、「席に座っていられない、急な飛び出し」など体全体の場合と、「もじもじする、イスをガタガタさせる」など体の一部に認められる場合があります。
    また、時や場所をわきまえず、早口でおしゃべりし続ける(多弁)状態もあります。

  5. 不注意・多動/衝動性混合型のADHD
  6. 不注意優勢型と多動/衝動性優勢型、両方の状態像を示すタイプです。
    適切な対応や、早期発見と早期対応のヒントになる冊子はこちらをご覧ください。
    ちょっとしたサポートで、その子の実力を発揮させることができるはずです!

冊子のダウンロードにつきましては下記のリンク先ページからお願いします。

実力を出せない子どもたちへ
ダウンロードはこちら

大人のADHD
ダウンロードはこちら

ADHDの理解のためのHP
厚生労働省HP
発達障害の理解のために
https://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.htm
文部科学省HP
発達障害とは
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm
国立特別支援教育総合研究所HP
発達障害教育における関連情報
https://www.nise.go.jp/nc/each_obstacle/developmental_disorders
発達障害情報・支援センターHP
発達障害を理解する
http://www.rehab.go.jp/ddis/発達障害を理解する/
保護者向けのHP
https://www.adhd.co.jp/
http://www.adhd-navi.net/
(上記2つはえじそんくらぶが作成に協力)
http://www.adhd-info.jp/
発達障害情報・支援センターHP
http://www.rehab.go.jp/ddis/%e7%9b%b8%e8%ab%87%e7%aa%93%e5%8f%a3%e3%81%ae%e6%83%85%e5%a0%b1/
海外のADHD支援団体のHP
Children and Adults with Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder (CHADD)
https://chadd.org/about-adhd/overview/
Attention Deficit Disorder Association(ADDA)
https://add.org/